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地域からのヘルプコール(1)
私達は地域猫活動を始めて以来、ことあるごとに様々な先輩ボランティアの方に相談をしてきました。新米地域猫ボランティアにとって、先輩方の存在はとても心強いものです。そのような先輩方と出会う機会に恵まれたのは、新宿区保健所とボランティアとで共同開催する「人と猫との調和のとれたまちづくり連絡協議会」でした。

先輩方に助けられて少しずつ成長した42825も、今年から正式にこの協議会のメンバーとなりました。これからお話しする出来事が起こったのは今年の2月の初旬のことです。それは、私たちの存在が少しずつ認知されるようになったことを象徴するような、地域からのヘルプコールがきっかけでした。

42825の活動現場の近隣の会社に勤務する女性から、現場で活動に深くかかわっているボラNに相談がありました。この女性はまず保健所に相談したところ、保健所の担当者から42825を紹介され、ボラNの連絡先を聞いて連絡をしてきたということでした。ボラNが話を聞いてみると、ある会社のベランダで社員の方がエサやりをしている猫がいて、去勢・避妊などがまだ済んでいないようなので、何とかしたいということでした。

42825ボランティアは、ある程度のTNRの経験を積んでいるため、捕獲と去勢・避妊(TとN)の支援はすぐにでも出来そうでした。しかし問題は、手術した後の猫をどこにリリースまたはリターン(R)するかということでした。本来、手術後の猫はエサやりが行われていた元の場所に戻すべきで、このエサやり現場の会社の方とも話し合いをしましたが、さまざまな事情があって会社の元のベランダには戻せないという結論になりました。そのオフィスの近隣には地域猫としてエサやりができそうな空き地や公園もありません。

42825に相談をもちかけてこられた方も、ご自身の居住地域で猫の保護活動(地域猫活動)をされていて、既に多くの猫を保護しているため、自分の家に連れ帰って飼うことはできないということでした。42825のメンバーも、かつて活動現場近くの子猫を保護し里子に出した、一時預かりボラYが会社勤めを始めたこともあり、成猫の人馴れ訓練を十分にしてあげて、無事里子に出せるところまでコミットすることもできない状況でした。

ほどなく猫は捕獲され、去勢手術が終わり、リリース先を決める必要が出てきました。TNRの基本は、安全な方法で捕獲し、猫の去勢・避妊を行い、保護した場所にリリース(リターン)してそこで地域猫として生きてもらうことです。ですから、保護した場所(会社のベランダ)でのリリースが無理なら、そのビルの出口あたりにでもリリースするべきでした。

保健所の担当者に相談しても特に解決策はありません。結局いずれ取り壊しが決まっている現場1にリリースするしかないという結論に達しました。私たちには、明日からすぐにはエサにありつけなさそうなコンクリートのはざまに、この猫を放り出すことはできませんでした。この猫を現場1へリリースすることになったのは、せめて42825の目の届く場所で飢えずに暮していけるように、と願ったからに他なりません。

私たちは「迷惑な野良猫を減らす」という、人間側の都合で猫の去勢・避妊手術をしています。こうした活動は「ゆるやかな淘汰」であり、他者の命に介入する不遜な行為なのかも知れません。私たちは、だからこそ、今、既に生まれてきてそこにある命を出来る限り大事にしたいと思っています。

しかし、猫にとっては全然知らないテリトリーに放されたわけです。実際、相談者の女性とリリースに携わったボラNからは、捨て猫をした気分だ、というメールがメンバーに届きました。リリース後、この猫が現場1に定着できるかどうかが、メンバー一同の心配の種でしたが、幸いその後何度も姿を確認することができ、何とか現場1で生きていけているようです。

でも、この出来事は、ただのハッピーエンドのお話ではありません。(2)に続きます。
by 42825 | 2010-04-09 22:16 | 地域猫活動
<< 地域からのヘルプコール(2) ありがとうございました。 >>



新宿区で地域ネコ活動をしています
by 42825
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